コードの重大度:高い(致命的)
このコードは排出ガス削減システムの重大な不具合を示しています。P208Aを無視すると以下の結果を招きます:
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🛑 段階的な走行不能(5~10回の始動後に性能制限モードへ移行)。
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⚠️ 汚染物質排出基準超過(法的非適合リスク)。
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💸 SCR触媒やその他部品の高額損傷。
技術的意味
コードP208Aは還元剤(DEF/AdBlue)ポンプ制御回路の問題を通知します。このポンプはSCRシステムの要です:
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統合機能:
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73 psi (500 kPa)の圧力を生成するダイヤフラムポンプ。
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圧力センサー、パージバルブ、フィルター、内蔵ヒーター。
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重要プロセス:
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噴射時:ポンプがラックを充填しエアをパージ。
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停止時:凍結防止のためDEFをタンクへ戻す。
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-11°C以下でヒーター作動(流体性維持)。
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検出された不具合:
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PCM(パワートレイン制御モジュール)がポンプ回路の電気的/機械的異常を検出。
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想定される症状
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🔶 エンジン警告灯点灯(チェックエンジン)。
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⚠️ ダッシュボードのDEF/SCR警告メッセージ。
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🐌 エンジン出力低下(性能制限モード作動)。
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💨 過剰な排気煙(未処理NOx)。
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🔋 バッテリー消耗(ポンプ作動停止時の場合)。
想定原因(頻度順)
| 順位 | 原因 | 技術詳細 |
|---|---|---|
| 1 | DEFポンプ故障 | ポンプ固着、ダイヤフラム摩耗、電動モーター故障(最多原因)。 |
| 2 | 配線問題 | 断線/摩擦、短絡(±12V/アース)、コネクター腐食。 |
| 3 | コネクター不良 | ピン酸化・曲がり・嵌合不良、シール損傷。 |
| 4 | 電源系故障 | ヒューズ焼損、リレー不良、PCM電源回路断線。 |
| 5 | PCM不具合 | 稀:制御モジュールのソフト/ハード故障。 |
診断手順(重要工程)
必要工具:マルチメーター、高度OBD2スキャナー(DEFデータ読取)、車両資料。
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コード&動的データ読取:
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スキャナーで以下を実施:
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関連サブコード読取(例:P208A-00, P208A-01…)。
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リアルタイムデータ分析:DEF圧力、ポンプ状態、温度。
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基本電気検査:
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ヒューズ/リレー:電源回路確認(サービスマニュアル参照)。
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ポンプ抵抗値:
規定値:0.5 - 5 Ω(規定外=ポンプ故障)。
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供給電圧:ポンプコネクターで測定(点火ON):
+ピンで12V確認、-ピンでアース導通確認。
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物理点検:
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配線:ハーネス全長を追跡(摩擦・潰れ調査)。
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コネクター:接点復活剤清掃、防水性確認。
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ポンプ/流量:始動時の「作動音」聴取(無音=故障)。
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機能試験:
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スキャナーでポンプ強制作動(「コンポーネントテスト」)。
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DEF圧力確認(目標:73 psi)。ゼロの場合:ポンプまたはパージバルブ故障。
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修理
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✅ ポンプ故障:ポンプ+モジュール一式交換(修理不可)。
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✅ 配線損傷:防水コネクターで修理(はんだ+熱収縮チューブ)。
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✅ コネクター腐食:清掃またはコネクター筐体交換。
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✅ ヒューズ/リレー故障:短絡原因特定後に交換。
⚠️ 注意事項:
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作業前のバッテリー遮断。
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保護メガネ/手袋着用(DEFは腐食性)。
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分解前のスキャナーによる残留圧力解放。
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修理後のエアパージはメーカー手順厳守。
修理後ベストプラクティス
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スキャナーでDEF適応値リセット。
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完全走行サイクル(15-20km)実施によるシステム再学習。
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漏洩なし・正常圧力復帰を確認。
⚠️ 重要:本コードは専門業者による対応が大半。圧力試験やPCMデータへのアクセス環境が整わない場合は専門工場へ依頼。