システム : 通信ネットワーク(CANバス)またはモジュール内部の故障。
P138xとの主な違い :
- ➡️ P138x = グロープラグ回路の電気的/性能的故障。
- ➡️ P1390 = エンジンコントロールユニット(ECU)とグロープラグコントロールモジュール(GPCM)間のデジタル通信の失敗。
よくある症状
- 🚫 気温5°C未満での始動不能 (グロープラグインジケーターが点灯していても)、
- 💻 チェックエンジン灯+エラーメッセージ (「グローシステム故障」)、
- 🔌 グロープラグ機能の完全な喪失 (キーをONにしてもリレーのクリック音なし)、
- ⚠️ 関連故障コード (U0100、U0423など)CANネットワークに関連。
優先的な原因(この順序で確認)
- 📡 CANバス通信の問題 :
- CAN-H / CAN-L ワイヤーの切断、圧迫、または短絡、
- コネクターの酸化 (GPCMまたはECU)。
- 🔌 GPCMの電源/アース不良 :
- GPCM専用 ヒューズの焼損(通常10-15A)、
- アースの腐食 (シャーシのアースポイントを確認)。
- 💻 GPCMの内部故障 :
- ECUの要求に応答しなくなったモジュール、
- 損傷した電子部品(膨らんだコンデンサ、焼けた回路)。
- 🖥️ ECUの故障 :
- コントローラーのソフトウェアまたはハードウェアの故障(稀)。
ステップバイステップ診断
1. 基本電気チェック :
| 要素 | テスト |
|---|---|
| GPCMヒューズ | 目視確認+導通確認 |
| GPCM電源 | 電源ピンの電圧測定(キーON時): 12V |
| GPCMアース | GPCMアースとシャーシ間の抵抗: < 0.5 Ω |
2. CANネットワークテスト (デジタルマルチメーター必須):
| 測定 | 正常値 | 異常 |
|---|---|---|
| CAN-H電圧 | 2.5 – 2.7V (キーON時) | < 1V = 短絡 |
| CAN-L電圧 | 2.3 – 2.5V (キーON時) | > 4V = ECUの問題 |
| CAN抵抗 | 60 Ω (CAN-HとCAN-L間) | 0 Ω = 短絡 / 120 Ω = ワイヤー切断 |
3. 高度な診断スキャン :
- GPCMを読み取れる 診断機を使用(例:Delphi、Autel MaxiCOM)、
- 以下を確認:
- GPCMの通信ステータス (モジュール「未検出」)、
- U0100コード (GPCMとの通信喪失)、
- ライブデータ (GPCM出力電流/電圧 = 0)。
推奨修理
| 故障 | 解決策 | 重要度 |
|---|---|---|
| ヒューズ/アース不良 | ヒューズ交換 / アース清掃 | 🔴 緊急 |
| CANワイヤー損傷 | 不良部分の修理+シールド | 🔴🔴 高 |
| GPCM不良 | 交換 +再プログラミング必須* | 🔴🔴 高 |
| コネクター酸化 | エアー清掃+コンタクトスプレー | 🟠 中 |
* 新しいGPCMはECUとのペアリングが必要(プロ用診断機必須)。
避けるべき誤り
- ❌ CANネットワークを確認せずにGPCMを交換 → 故障再発、
- ❌ 関連コードを無視 (例:U0100)→ 不完全な診断、
- ❌ 強制始動 → 触媒/DPF損傷のリスク。
実践例(実際のPSA HDI例)
- 症状 : 冷間時始動不能+P1390コード。
- 診断 :
- GPCMヒューズ正常、
- CAN-H電圧 = 0V (アースへの短絡)、
- 痕跡:ECUボックス下のCANワイヤー圧迫。
- 修理 :
- ワイヤー修理+熱収縮チューブで絶縁。
プロのアドバイス
- 🔧 簡易テスト : GPCMコネクターを外す→コードがP1391(オープン回路)に変われば、GPCMはおそらく不良。
- ⚡ 履歴を確認 : 過電圧 (例:誤ったブースター始動)でGPCMが焼損する可能性あり。
- 💡 一時的な解決策 :
- グロープラグリレーを短絡(ピン30-87)して全てのグロープラグに通電→緊急始動可能(長期使用は避ける)。
⚠️ 重要 : このコードは寒冷時に車両を動けなくすることが多い。迅速な対応が不可欠。基本チェックで失敗した場合は、メーカー診断機を装備した専門家に相談(例:PSA用Diagbox、Ford用SD Connect)。
技術データ : SAE J1939、ISO 15765-2規格、メーカーWSM。