アウディ OBD2 故障コード P1491 の原因と診断・修理方法

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故障コード P1491 とは? アウディの二次空気噴射システムの役割

OBD2 スキャンツールで読み取られる故障コード P1491 は、「二次空気噴射システム、バンク1」の機能不良を示すコードです。これは主にアウディ(Audi)やフォルクスワーゲン(VW)グループの車両で見られる、排ガス浄化に関連する重要なシステムのトラブルを意味します。

二次空気噴射システム(SAS)の目的

二次空気噴射システム(Secondary Air Injection System)は、エンジンが冷間始動した直後のごく短い時間(通常1〜2分)のみ作動する排気ガス後処理装置です。その主な役割は以下の通りです。

  • HC(炭化水素)とCO(一酸化炭素)の急速酸化: コールドスタート時はエンジンが冷えており、燃料が完全燃焼せず未燃焼ガス(HC, CO)が多く発生します。このシステムは、エキゾーストマニホールドに新鮮な空気(二次空気)を強制的に送り込み、高温の排気ガスと混合させることで、未燃焼ガスを急速に酸化(燃焼)させます。
  • 三元触媒の早期活性化: この酸化反応による発熱で、排気系の温度を素早く上昇させ、三元触媒コンバーターを動作可能な温度(約250〜300℃以上)にまで短時間で暖めます。これにより、エンジン始動直後から有害物質の浄化効率を高め、環境規制(特に欧州規制)をクリアするために設計されています。

コード P1491 が示す具体的な問題

「バンク1」とは、V型エンジンなどの場合、シリンダー列の1列目を指します。直列エンジンの場合は、唯一のバンクとして扱われます。P1491は、このバンク1に対する二次空気システムの流量や作動が、エンジン制御ユニット(ECU)の予想値から外れている(低すぎる、または検出されない)状態を検知したことを意味します。システムが機能しないと、コールドスタート時の排ガスが悪化し、場合によっては排気ガステストに不合格となる可能性があります。

アウディ P1491 故障コードの主な原因と特定方法

P1491 が記録される原因は、電気系、機械系、真空系に分けられます。システムは短時間のみ作動するため、部品の劣化や詰まりが生じやすい傾向があります。

原因1: 二次空気噴射バルブ(コントロールバルブ)の故障

二次空気バルブ(または切り替えバルブ)は、二次空気ポンプから送られてきた空気をエキゾーストマニホールドへ導く経路を開閉する役割を担います。真空または電気で作動します。

  • 症状: バルブ内部のダイアフラム破損、バネの劣化、弁の焼き付き、コイルの断線など。
  • 診断: バルブを外し、手動で空気を通すテストや、作動時の抵抗値測定、真空アクチュエーター式の場合は真空漏れの有無を確認します。

原因2: 二次空気ポンプの故障

エアフィルターから空気を吸入し、圧縮してバルブへ送り込む電動ポンプです。寒冷地では内部で結露し、凍結や腐食で故障することがあります。

  • 症状: モーター焼け、ブラシ摩耗、インペラ破損、内部の詰まり。作動時に「うなるような異音」や「カラカラ音」がする、あるいは全く音がしない。
  • 診断: ポンプに直接12V電源を供給し、回転と吸気力を確認します。また、ECUからの電源供給とアース回路を電圧チェックで確認します。

原因3: 真空ホース・配管の劣化と詰まり

  • 真空ホースの亀裂・外れ: バルブを制御する真空ホースが劣化すると、真空がかからずバルブが開きません。
  • エア配管の詰まり・破損: ポンプからバルブ、バルブからマニホールドへのゴムホースや金属パイプが、内部のサビやカーボンで詰まったり、穴が開いている可能性があります。
  • 診断: すべてのホースと配管を目視と触診で確認し、真空漏れテストや圧縮空気を通すテストを行います。

原因4: エアフィルターの目詰まり

二次空気ポンプの吸気口に装着されている小さなフィルターが、埃やゴミで目詰まりを起こし、十分な空気を吸入できなくなるケースです。比較的簡単かつ低コストで対処できる原因の一つです。

原因5: センサーまたはECU(エンジン制御ユニット)の不具合

稀ではありますが、関連するセンサー(エアフローメーターの信号を参照する場合もある)の誤信号や、ECU自体の内部故障により、誤ってP1491が記録されることがあります。他の原因をすべて排除した後に検討すべき項目です。

P1491 の診断・修理手順と費用の目安

専門的な知識と工具が必要な作業も含まれるため、基本的な診断は自身で行い、修理は信頼できる整備工場に依頼することをお勧めします。

ステップバイステップ診断手順

  1. 基本確認: エンジンルーム内の二次空気システム関連のホース、配線コネクターが外れていないか目視点検。
  2. 作動音確認: エンジンを冷やした状態(水温が常温以下)で始動し、エンジンルーム内でポンプの作動音(「ブーン」という音)が約1〜2分間するか確認。音がしない、または異常音がする場合はポンプまたは電源系の不具合が疑われる。
  3. バルブの作動確認: 真空式バルブの場合、作動時にバルブに触れ、振動(開閉動作)を感じるか確認。電気式の場合はスキャンツールのアクチュエーターテスト機能でオン/オフを操作し、クリック音を確認。
  4. 部品単体テスト: 疑わしい部品(ポンプ、バルブ)を車両から外し、前述の単体テストを実施。
  5. 配管・真空テスト: 真空ポンプで真空回路をチェックし、圧縮空気でエア配管の通気性を確認。

修理方法と交換部品の相場

故障箇所に応じた修理方法です。

  • 二次空気ポンプ交換: 純正品は高額(5〜15万円)な場合が多いが、社外品のリビルト品や互換品(2〜6万円程度)も流通している。交換工賃は1〜2万円程度。
  • 二次空気バルブ交換: 部品単価はポンプより比較的安価(1〜4万円程度)。アクセスしやすい位置にある場合は交換工数も少ない。
  • ホース・フィルター交換: 最もコストが低く、部品代は数千円程度で済むことが多い。
  • システム全体の削除(プログラミング): 特に高齢車では、システム全体をECUから無効化し、ポンプやバルブを物理的に取り外す「削除」を行う選択肢もあります。これにより故障リスクと将来のメンテナンスコストを排除できますが、法的に問題のない地域か、専門家による適切なECU再プログラミングが必要です。

放置するリスクとメンテナンスの重要性

P1491は、直ちにエンジンの走行性能や信頼性を損なうコードではありません。しかし、以下のリスクがあります。

  • 排気ガス検査の不合格: 車検時や定期検査で、COやHCの数値が基準を超える可能性が高まります。
  • 他の故障コードの誘発: 三元触媒の負担が増え、長期的には触媒効率低下(P0420など)のコードを誘発する可能性があります。
  • 環境負荷の増加: コールドスタート時の有害物質排出量が増加します。

二次空気システムは消耗品とまでは言えませんが、10万kmを超える走行や、高年式の車両では定期的な点検(ホースの状態、ポンプの作動音)を行うことで、突然の故障を未然に防ぐことができます。

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