P0117コードとは何ですか?
P0117エラーコードは、パワートレイン制御モジュール(PCM)用の汎用コードで、エンジン冷却水温(ECT)センサー回路の低い入力を示します。1996年以降に製造されたほとんどの車両(ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲン、フォードなど)に適用されます。汎用コードですが、特定の診断手順はメーカーやモデルによって異なる場合があります。
ECTセンサーの役割と機能
エンジン冷却水温(ECT)センサーは、エンジンブロックまたは冷却液通路内に位置するサーミスタです。その電気抵抗は冷却液の温度に応じて変化します。通常は2線式のセンサーで、1本はパワートレイン制御モジュール(PCM)からの5ボルト基準電圧を受け取り、もう1本はアースとして機能します。
エンジンが冷えているときはセンサーの抵抗が高く、温まっているときは抵抗が低くなります。PCMが異常に低い信号電圧を検出し、過度に「高温」の状態を示すと、P0117コードが発生します。

P0117コードの症状
- 故障指示灯(MIL)の点灯
- 燃費の悪化
- エンジンの不調や失火
- 不規則または不可能なアイドリング
- 排気ガス中の黒煙
- 始動困難または始動後の失火
考えられる原因
- 不良なECTセンサー
- 信号回路のアース短絡
- 酸化、損傷、または緩んだコネクター
- 損傷または摩擦のある配線ハーネス
- PCMからの5V基準電圧の問題
- エンジンの過熱(稀)
- PCMの故障(非常に稀)
診断と解決策
P0117コードは異常な「高温」状態を示します。最初のステップは、問題がセンサー、配線、または稀に実際の過熱によるものかを判断することです。
ステップ1:診断ツールによる確認
キーオンエンジンオフ(KOEO)状態で、診断ツールのECTセンサー温度読み取り値を確認します。冷えたエンジンでは、周囲温度に近く、吸入空気温度(IAT)センサーの読み取り値と一致するはずです。大きな差がある場合は、ECTセンサーに問題がある可能性があります。
ステップ2:センサーと配線のテスト
読み取り値が過度に高温(例:125°C以上)を示す場合、ECTセンサーのコネクターを外します。診断ツールの読み取り値は極低温(例:-40°C)に低下するはずです。
- 読み取り値が低下する場合:ECTセンサーが内部短絡しています。交換が必要です。
- 読み取り値が変わらない場合:センサーとPCM間の配線にアース短絡があります。ハーネスを目視検査し、摩耗、摩擦、または溶融の兆候を探します。損傷した配線を修理または交換してください。
ステップ3:5V基準回路の確認
配線が正常に見える場合、PCMコネクターの信号線ピンの電圧を確認します。電圧がない、または低い場合は、PCMの問題や、他のセンサーと共有される5ボルト基準回路の短絡を示している可能性があります。他のセンサーコードが存在する場合は、センサーを1つずつ外して短絡の原因を特定してください。
ステップ4:断続的な問題
読み取り値が正常に見える場合、問題は断続的である可能性があります。配線ハーネスを振ったり、コネクターを操作しながらECTの読み取り値を監視します。診断ツールの「フリーズフレームデータ」機能を使用して、故障発生時の記録値を確認してください。
関連コード
P0115、P0116、P0118、P0119、P0125、P0128
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電気診断は複雑な場合があります。マルチメーターやスキャンツールの使用に慣れていない場合は、専門の整備士に相談し、正確な診断とPCMの損傷を防ぎましょう。