政府は何十億もの資金を投じて安全運転を促進しているが、Tmapほど顕著な成果を上げている例は稀だ。この韓国のナビゲーションアプリは、遊び心のある効果的な方法で安全運転を報酬化している。市場をリードするTmapは、ユーザーの運転行動に基づいてスコアを付与。3年間で31,366件の交通事故防止に貢献したとされ、既に1,900万人のドライバーが参加している。
巧妙な報酬プログラム
2016年に導入されたTmapの「運転スコア」プログラムは、ドライバーのスマートフォンが加速度、ブレーキ操作、コーナリング、速度を分析するシンプルな仕組み。運転が滑らかで安全であればあるほど、スコアは上昇する。このスコアは自動車保険の割引にも活用可能で、1,900万人のユーザーのうち1,000万人以上が何らかの保険料控除や割引を受けている。
稀有な利害関係の一致
「韓国では珍しく、全参加者のスコア上昇が皆の利益につながる競争システムです」と韓国保険研究院のチョン・ジヨン上級研究員は説明する。「安全運転は事故リスクを減らし、保険会社は支払いを節約し、ドライバーは費用を削減できる。稀に見る利害の一致です」
安全を実現するゲーミフィケーション
高スコアを積み重ねることで、ドライバーはランキングを上昇させ、リアルタイムで報酬を得られる仕組み。既に広く利用されているアプリに組み込まれたこの機能は、ユーザーが最小限の手間で参加し利益を得られるように設計されている。「先月満点の100点を取った時、オンラインに勲章のように投稿しました」とTmapユーザーのイ・ジヨン氏は語る。
具体的な交通安全への成果
韓国の交通安全は着実に改善している。交通事故件数は2014年の223,552件から2023年には198,296件に減少し、人口10万人当たりの死亡率は9.4から5.0に低下。技術と取り締まりが主要因である一方、民間モデルは新たな次元を提供している。それは政府プログラムが大規模に実現できていない「適切な行動への報酬」だ。このコンセプトは発売以来、他社アプリやレンタカー企業のSocarにも採用され、公共キャンペーンでは届かない領域にも安全意識が広がりつつある。