都市型EVの新基準を競う両雄
20,000ユーロ(約320万円)という手頃な価格帯で新型電気自動車を投入するルノーとシトロエン。都市移動の主役を目指す新型トゥインゴEVとシトロエンC3電気モデルは、従来の低価格EVの概念を刷新します。両車は単なる価格競争ではなく、日常の実用性と電気駆動の利便性をどうバランスさせるか、異なるアプローチで消費者に選択肢を提示しています。
デザインとコンセプトの違い
新型ルノー・トゥインゴは、コンパクトで愛らしいルックスを継承しつつ、完全EVプラットフォームを採用。極力シンプルな構造と軽量ボディを追求した結果、小容量バッテリーでも実用的な航続距離を実現しています。一方、シトロエンC3は、SUV風の力強いスタンスと高い居住性を特徴とし、ファミリー層も視野に入れた設計が目立ちます。C3は、より多様なライフスタイルへの適応をコンセプトの根幹に据えていると言えるでしょう。
実用性能とコストパフォーマンス
航続距離に関しては、市街地での使用を主眼に置くトゥインゴと、少し長距離の移動も想定するC3で差が生じます。充電インフラの整備が進む都市部では、トゥインゴの航続距離でも十分と言えますが、郊外利用が多い場合はC3の長距離モデルが有利です。維持コストでは、両車とも家庭用電源での充電を前提とした経済性を強調。特にトゥインゴは、極力シンプルなメカニズムにより、長期的な整備コストの低減を図っています。
購入を検討する際のポイント
選択の基準は、主に使用環境と求められる空間に集約されます。狭い路地での機動性と駐車の容易さ、そして最低限のランニングコストを最優先するなら、トゥインゴが一歩リードします。反対に、複数人での乗車機会が多く、荷物容量や多少の悪路走破性も求めるのであれば、C3の汎用性が光ります。いずれにせよ、従来のガソリン車に匹敵する価格でEVを選べる時代の到来は、都市モビリティの選択肢を大きく広げる画期的な一歩です。