2035年エンジン車禁止の転換点
欧州連合（EU）が掲げてきた2035年までのガソリン車・ディーゼル車販売禁止目標が、大きな転換期を迎えています。ドイツに続きフランスも政策の見直しを主張し始め、欧州全体の自動車産業戦略に新たな議論が生まれています。
仏独連携の背景
従来から環境政策の先鋒を走ってきたEUが、自動車産業保護の観点から方針転換を検討し始めています。特に自動車大国であるドイツとフランスが足並みを揃えたことで、EU全体の政策に影響を与える可能性が高まっています。両国は電気自動車（EV）の普及が想定より遅れている現状を重視し、より現実的な移行期間の必要性を訴えています。
充電インフラの課題
EV普及の最大の障壁となっているのが充電インフラの未整備です。都市部と地方で充電設備の格差が大きく、長距離移動時の不安が消費者のEV購入をためらわせる要因となっています。また、電力供給の安定性や再生可能エネルギーの割合など、エネルギー政策全体との整合性も問われています。
技術革新の可能性
自動車メーカー各社は、ハイブリッド車や水素自動車、合成燃料など多様な脱炭素技術の開発を進めています。特に次世代ハイブリッド技術の進歩は目覚ましく、排出ガス削減効果が従来モデルを大幅に上回るケースも出てきています。
今後の展望
EU委員会は各国の意見を踏まえ、2024年後半に新たな政策案を提示する予定です。環境保護と産業競争力の両立を図るため、より柔軟なアプローチが採用される可能性があります。自動車メーカーは技術開発の選択肢を広げつつ、市場の変化に対応した戦略の見直しを迫られています。