極限の航続距離を求めたカスタム改造
アメリカの自動車愛好家チームが、電気自動車による大陸横断記録「キャノンボールラン」への挑戦を計画しています。彼らが選んだベース車両はRivian R1Tのピックアップトラック。しかし、市販車のままでは記録達成は困難と判断し、驚異的なカスタマイズを施しました。その核心が、総容量310kWhという巨大バッテリーシステムの搭載です。これは一般的な家庭用蓄電池の容量をはるかに超え、量産EVの約3〜4倍に相当する膨大なエネルギーを蓄えることができます。
氷を活用した独創的な冷却システム
巨大バッテリーが生み出す発熱は深刻な課題です。過熱は性能低下や安全性の問題を引き起こします。チームが編み出した解決策は、極めてアナログながら効果的な「氷冷式」冷却システムです。バッテリーパック周囲に氷を充填するスペースを設け、融解時の気化熱を利用して温度管理を行います。この手法は、複雑な液体冷却システムに比べて軽量で、途中での氷の補充も容易という利点があります。伝統的な知恵と最新技術の融合と言えるでしょう。
記録挑戦が示すEVの可能性
このプロジェクトは、市販EVの限界を超えようとするDIY精神の結晶です。チームは、充電時間を最小限に抑えつつ、可能な限り長距離を走破することを最優先に設計を進めています。氷冷システムは、急速充電を繰り返す際の熱暴走を防ぐ重要な役割を担います。このような草の根の挑戦は、自動車メーカーによる公式開発とは異なる視点で、電気自動車の航続距離と熱管理に関する貴重な実地データを提供する可能性を秘めています。結果がどうあれ、EV性能の限界を探る意欲的な試みとして注目されます。