ポンティアック・フィエロの狂気の改造 V8キャデラックエンジン搭載の異形スポーツカー

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短命に終わった名車への大胆な挑戦

1980年代、GMグループの中で異彩を放ったポンティアック・フィエロ。その独創的なミッドシップレイアウトとプラスチックボディは当時としては画期的でしたが、エンジンパワーに難があり、生産期間はわずか5年で終焉を迎えました。この「もしも」を現実に変えようとしたのが、ある熱狂的なオーナーによる驚異的な改造プロジェクトです。

車体を切断するという過激な手法

1984年式のフィエロをベースに施された改造は、従来のエンジンスワップの概念を遥かに超えるものでした。大きなV8エンジンを収容するため、車体の中央部分を切断し、約30センチメートルも延長するという外科手術のような大工事が行われました。この延長により、ミッドシップのレイアウトを保ちながら、本来は収まらない大型エンジンの搭載が可能となったのです。

キャデラック製V8エンジンという選択

搭載されたのはキャデラック製の6.0リッターV8エンジン。このパワーユニットは、アメリカン・マッスルカーを思わせる豊富なトルクと出力を、軽量なフィエロのシャシーに与えることを可能にしました。エンジンルームの大規模な改造、強化されたサスペンション、そして大型エンジンに対応するための冷却システムの再構築など、機械的な変革は多岐に渡ります。

生まれ変わった異形のマシン

この改造により、フィエロは外見上もオリジナルから大きく変貌を遂げました。延長された車体は独特のプロポーションを生み出し、オリジナルの持つ軽快なイメージを残しつつ、どこか「ならず者」のような威圧感を醸し出しています。この車両は、自動車オークションに出品され、その独創性と技術力の高さから大きな注目を集めました。

このプロジェクトは、メーカーが叶えられなかった「高性能版フィエロ」の可能性を、個人の情熱と技術力によって具現化した稀有な事例です。純正主義者からは批判を受けるかもしれませんが、自動車改造文化の極致を示す作品として、その存在意義は非常に大きいと言えるでしょう。

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