スペイン・アラゴン州に欧州生産の拠点が誕生
中国の新興電気自動車メーカー、リープモーターが、欧州市場における本格的な展開に向けて大きな一歩を踏み出します。同社は戦略的パートナーである自動車大手ステランティスとの協力の下、2026年を目処にスペインでの現地生産を開始することを正式に決定しました。生産拠点となるのは、ステランティスが所有するサラゴサ近郊のフィゲルエラス工場です。これにより、同工場はリープモーターの欧州における製造の「揺りかご」となることが確定しました。
ステランティスとの強力な提携が実現する現地生産
この決定は、リープモーターとステランティスが2023年に締結した広範な戦略的提携に基づくものです。提携では、ステランティスがリープモーターに対し約15億ユーロを出資し、国際販売の権利の多くを取得することが合意されていました。スペイン工場での生産は、このグローバルな協業関係の具体的な成果の一つとなります。現地生産を開始することで、リープモーターはサプライチェーンの効率化や関税リスクの低減を図り、欧州市場での競争力を強化する方針です。
欧州EV市場への本格参入とその戦略的意義
リープモーターのスペイン生産開始は、欧州の電気自動車市場の構造に変化をもたらす可能性を秘めています。同社は技術面、特に「セル・トゥ・チャシス」と呼ばれる革新的なプラットフォームに強みを持つとされています。欧州で生産されるモデルの詳細はまだ明らかになっていませんが、同社の主力電気モデルや拡張型電気自動車(EREV)が候補として挙がっています。現地生産によって、より競争力のある価格設定が可能となり、欧州の消費者にとって新たな選択肢が増えることが期待されます。
この動きは、中国メーカーが単なる輸出から、研究開発、生産、販売までを含む真の「現地化」戦略へと移行する傾向を強く示す事例です。同時に、ステランティスにとっては、急速に成長する中国のEV技術と知見を迅速に取り込み、自社の電動化ポートフォリオを補完する機会となります。2026年の生産開始は、両社の戦略的シナジーが実際の形となる重要なマイルストーンとなるでしょう。