米国EV市場に転換点 10年ぶりの販売減速が示すもの

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電気自動車市場、成長の陰り

2025年、米国市場における電気自動車(EV)の新規登録台数が、10年間続いた成長トレンドに初めて歯止めがかかりました。調査会社S&P Global Mobilityが発表した最新データによると、前年比0.4%の微減となったことが明らかになりました。この数字自体は小さなものですが、同社が統計の収集を開始して以来、継続して記録されてきた上昇傾向が初めて中断したという点で、市場にとって重要な転換点を示しています。

市場成熟化と新たな課題の表れ

この販売減速の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。第一に、初期の熱心な環境意識の高い消費者やテクノロジー早期採用者への浸透が一段落し、より広範な一般消費者層への普及段階に移行したことが挙げられます。この層では、車両本体価格の高さ、充電インフラの未整備への懸念、航続距離への不安などが、購入に対するより高いハードルとして作用しています。

政策と経済環境の影響

また、連邦政府や州レベルでの購入補助金(インセンティブ)の変更や削減が、購入意欲に影響を与えている可能性があります。加えて、金利上昇に伴う自動車ローンの利子負担増や、経済的不透明感が高価格帯の商品であるEVの購入を延期させる動きにつながったとの見方もあります。従来のガソリン車と比べた場合の総保有コスト(TCO)の優位性が、このような経済環境下では相対的に低下している面もあるでしょう。

今後の市場動向への注目点

今回のデータは、EV市場が単純な右肩上がりの成長段階から、より成熟し、競争が激化する新たな段階へと移行し始めたことを示唆しています。メーカー各社は、より手頃な価格帯のモデルの投入、充電速度や電池技術のさらなる向上、そして充電ネットワークの拡充に注力することが求められています。今後は、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)への需要動向も含め、電動化の潮流がどのような形で進展していくのか、注意深く観察する必要があります。

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