P0441コードの定義
P0441コードは、排出ガス制御システム(EVAP)に関連するOBD-IIの汎用パワートレインコードです。燃料蒸気のパージプロセスにおける不具合を示し、エンジン制御ユニット(PCM)がパージ指令時に期待される流量を検出できなかったことを意味します。
EVAPシステムの仕組み
EVAPシステムは燃料蒸気が大気中に放出されるのを防ぎます。構成要素は以下の通り:
- 燃料タンクキャップ
- 燃料配管
- チャコールキャニスター
- パージバルブ
- 関連センサー及びホース
蒸気はチャコールキャニスターに蓄積され、インテークバキュームで作動するパージバルブを通じてエンジンに送られます。真空スイッチがこの行程中の流量を監視し、PCMがパージを指令しても流量を検知できない場合(スイッチ閉状態)にP0441コードが記録されます。
主な症状
- チェックエンジン灯の点灯(多くの場合唯一の自覚症状)
- 燃料消費率の微増(稀)
想定原因
- 電気系の問題:パージソレノイドの断線/短絡、コネクターの腐食
- 機械的故障:
- パージソレノイドの不良
- 真空スイッチの故障
- EVAP配管の亀裂やキャニスター損傷
- EVAPラインまたはキャニスターの閉塞
- PCMの不具合(稀)
推奨対策
- 基本点検:
- 燃料タンクキャップの密閉性確認
- EVAP配管の亀裂・脱落検査
- 腐食したコネクターの清掃
- 詳細検査:
- パージソレノイドの抵抗値と電源供給のテスト
- 真空スイッチの作動確認
- スキャンツールを用いたパージ作動と流量観測
- 頻出修理例:
- パージソレノイドの交換(最多対応事例)
- 損傷配管・キャニスターの修復
- クライスラー車:リーク検知ポンプ(LDP)の交換
- PCM不具合時:モジュールの再プログラミングまたは交換
関連EVAP DTCコード
- P0440(リーク検知)| P0442-P0449(バルブ/演算系不具合)
- P0452/P0453(タンク圧力センサー)| P0455/P0456(小/大リーク)
注記:正確な故障箇所の特定には、OBD-II診断ツールとスモークテストによる精密診断が推奨されます。