診断コード P0373:エンジン位置センサー「A」
意味
診断トラブルコード(DTC)P0373は、パワートレイン制御モジュール(PCM)用の汎用コードであり、エンジン位置センサーを備えたOBD-II搭載車両(シボレー、GMC、フォード、ダッジ、BMWなど)に適用されます。汎用コードですが、修理手順は車両のメーカーやモデルによって異なる場合があります。
パワートレイン制御モジュール(PCM)は、エンジンの回転数と位置を決定するために、基準となるタイミング信号を必要とします。これは、クランクシャフト位置センサー、カムシャフト位置センサー、または燃料ポンプセンサーなどのエンジン位置センサーによって実現されます。
PCMはこの情報を使用して以下を管理します:
- 燃料インジェクターの制御、
- 点火タイミング、
- ミスファイアの診断。
エンジン位置センサーには主に2つのタイプがあります:
- ホール効果センサー、
- 永久磁石(PM)センサー。
これらのセンサーは、近くに取り付けられたホイールまたはディスクによってトリガーされます。センサーはPCMに信号を送信し、PCMはその信号を解釈してエンジンの動作を調整します。
コードP0373の場合、「A」は、特定のコンポーネントではなく、システム回路の一部に関連する問題を示しています。このコードは、PCMがエンジン位置センサー「A」からの信号が断続的または不安定であると検出したときに設定されます。
コードの重大度と症状
コードP0373の重大度は中程度から深刻です。一般的な症状には以下が含まれます:
- エンジン警告灯の点灯、
- 始動困難または始動不能、
- エンジンの性能低下。
考えられる原因
このコードの潜在的な原因は以下の通りです:
- センサーの故障、
- 配線の問題、
- トリガーホイールの損傷、
- 汚染されたオイル、
- PCMの故障。
診断と修理の手順
1. 目視検査
- エンジン位置センサーとその配線を確認します。
- 緩んだ接続や損傷した配線を探します。
- 損傷が検出された場合は、必要な修理を行い、コードを消去して再発するか確認します。
- エンジンにセンサーに影響を与える可能性のある金属粒子が含まれていないことを確認します。
2. サービス技術情報(STI)の確認
- お使いの車両に特化した推奨事項があるか、STIを参照してください。
- 関連するSTIが見つからない場合は、詳細な診断に進みます。
3. センサーの確認
ホール効果センサー
- デジタルマルチメーターをDC電圧モードに設定します。
- センサーの信号線とアースをプローブします。
- エンジンを始動せずにイグニッションキーを回します。
- 読み取り値は0ボルトと基準電圧(通常5V)の間で変動するはずです。
- オシロスコープを使用して信号のパルスを視覚化することもできます。
永久磁石(PM)センサー
- センサーの内部抵抗を確認します(メーカーの仕様に応じて500〜1,200オームである必要があります)。
- デジタルマルチメーターをAC電圧モードでセンサーコネクターに接続します。
- エンジンを始動し、変動する電圧の読み取り値を確認します。
注:損傷したまたは不適切に配置されたトリガーホイールは、センサーの誤動作を引き起こす可能性があります。
4. 回路の確認
配線を正しく識別するために、メーカーの配線図を用意することをお勧めします。
ホール効果センサー
- 回路のアースを確認:
- マルチメーターをオームモードに設定し、コネクターのアース端子とアース間の抵抗を測定します。
- 読み取り値が範囲外(OL)の場合、修理が必要な開放回路があります。
- 基準電圧を確認:
- イグニッションオンで、センサーとPCM間の基準電圧(通常5V)を測定します。
- 電圧が存在しない場合、特定して修理する必要がある開放回路があります。
- 戻り信号を確認:
- イグニッションオフで、マルチメーターをオームモードに設定し、センサー出力とPCM間の抵抗を測定します。
- 読み取り値が範囲外(OL)の場合、修理が必要な開放回路があります。
永久磁石(PM)センサー
- 回路のアースを確認:
- マルチメーターをオームモードに設定し、センサーのアース端子とアース間の抵抗を測定します。
- OLが表示された場合、開放回路があり、修理が必要です。
- 戻り信号を確認:
- マルチメーターをオームモードに設定し、センサー出力とPCM間の抵抗を測定します。
- 範囲外(OL)の読み取り値は、修理が必要な開放回路を示しています。
結論
コードP0373は、多くの場合、エンジン位置センサーからの不安定な信号に関連しています。目視検査、センサーと回路の確認を通じた体系的な診断が、問題を効果的に特定して修正するために不可欠です。