ISO/SAE予約コードP012Fの意味は?
Stephen Darby(ASE公認技術者)による記事
P012Fのようなコードを診断する前に理解すべき重要な点は、これは部品の故障ではなく、車両システムが2つの規制機関である国際標準化機構(ISO)と米国自動車技術会(SAE)が定めた通信基準を満たしていないことを示す場合が多いということです。
ISOとSAEとは?
1905年に設立されたSAEインターナショナルは、自動車および航空宇宙産業の基準開発に取り組む米国発の国際組織です。工具やナット・ボルトの標準測定システム(非メートル法)を表す「SAE」という表示をご存知の方も多いでしょう。
ISO(国際標準化機構)は1947年に設立され、100カ国以上の国家标准機関で構成される連合体です。その目的は、データ通信や情報技術を含む分野で統一基準を確立し、国際貿易を促進することです。
車両とOBD-II診断の関連性
1995年後半以降、自動車メーカーはISOおよびSAEと協力し、オンボード診断(OBD)システムとデータ通信に関する必須の指針を確立しています。これらの基準は、信頼性の確保、メッセージ伝達の高速化、電磁妨害の最小化を目的としています。
これらの基準に準拠する自動車プロトコルには、CANバス(Controller Area Network)が含まれます。これは複雑な配線とコネクタのネットワークで、車両内の様々な電子モジュール(最大70個の場合も)が相互通信することを可能にします。
パワートレイン制御モジュール(PCM)がCANネットワーク上でISO/SAEプロトコルへの非準拠や通信エラーを検出すると、P012Fのようなコードを記録し、故障表示灯(MIL)を点灯させる場合があります。
ISO/SAE予約コードの重大度
このコードの重大度は大きく変動します。運転に影響しない軽微で断続的な問題から、様々な操縦性症状を引き起こす重大な故障まで多岐にわたります。他の故障コードの有無は、その深刻さを評価する重要な手がかりとなります。
考えられる症状
- 様々な運転問題(失火、出力低下など)
- 感知できる症状なし(断続的コード)
- チェックエンジン灯の点灯
- 他の故障コードの保存
潜在的な原因
- 損傷した配線(特に齧歯類による)または緩んだ/腐食したコネクタ
- 不良接続またはバッテリー/オルタネーターの電圧低下
- 電子モジュール(コントローラー)の故障
- コントローラーのプログラミング(ソフトウェア)エラー
診断手順
- 外観検査: CANネットワークの全ての可視配線とコネクタを詳細に検査し、損傷、腐食、齧歯類による噛み跡を探します。
- コードスキャン: OBD-IIスキャナーを接続し、全ての故障コードとフリーズフレームデータを読み取ります。注意深く記録してください。
- TSB調査: メーカーの技術サービスブレティン(TSB)を参照し、あなたの車両、症状、コードに一致する既知の問題を確認します。
- 電気系統点検: バッテリー端子を清掃し、完全に充電されていること、オルタネーターが正常に充電していることを確認します。低電圧がこのコードを引き起こす可能性があります。
- タップテスト: コードが持続する場合、スキャナーでCANネットワークの断続的な切断を監視しながら、ハーネスとコネクタを振るタップテストを実施します。
- 高度な診断: 上記の手順で解決しない場合、モジュールの内部故障またはプログラミングエラーを疑い、メーカー診断ツールが必要となります。
その他のISO/SAE予約コードの例
P011E, P011F, P015E, P015F, P016A-P016F, P017A-P017F, P019A-P01FF, P04AB, P030A, P052F, P056E, P025E, P02FBなど
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