欧州の内燃機関車販売終了、条件付きで2035年以降に延期か
欧州連合(EU)が掲げる2035年を期限とした新車の内燃機関(エンジン)車販売終了目標について、条件付きで5年間の延期が検討されている可能性が報じられています。ブリュッセルのEU機関内部から流出した情報によると、この延期案は、加盟各国が厳格な条件を満たすことを前提として浮上しています。
延期の背景と厳格な条件
当初の2035年目標は、欧州の気候中立目標達成に向けた交通セクターの重要な柱として設定されました。しかし、充電インフラの整備速度の地域格差や、バッテリー原材料の供給懸念など、現実的な課題が表面化しています。提案されている延期案は、単なる期限の先送りではなく、加盟国がクリアすべき「厳格で拘束力のある基準」の履行が必須条件とされています。これらの条件には、充電ステーションの全国的な普及目標の達成や、再生可能エネルギー由来の電力供給の保証などが含まれるとみられています。
自動車産業と市場への影響
この延期の可能性は、欧州の自動車メーカーに戦略再考の余地を与える一方で、電気自動車(EV)への投資計画に不確実性をもたらす懸念もあります。消費者にとっては、移行期間が長引くことで、より充実したインフラ環境が整ってからEVを購入する選択肢が広がる可能性があります。しかし、気候変動対策の観点からは、野心的な目標の後退として批判的な見方も予想されます。
最終的な決定は、欧州委員会、欧州議会、および加盟国間の今後の協議に委ねられています。いずれにせよ、欧州の自動車市場は、技術革新、インフラ整備、政策動向が複雑に絡み合う、大きな転換期を迎えています。