電気自動車市場に迫る逆風
英国政府が電気自動車(EV)に対する新たな課税を検討している。従来のガソリン車・ディーゼル車の販売減少により税収が減少していることが背景にある。この動きは、世界的なEV普及の流れに逆行する可能性があり、自動車業界関係者の間で懸念が広がっている。
税制変更の背景と影響
英国ではガソリン車やディーゼル車の購入時に課される税金が重要な歳入源となっていた。しかしEVの普及が進むにつれ、これらの税収が減少。政府は財政赤字を補うため、EV所有者にも何らかの形で税負担を求める方針を打ち出した。
現在検討されている案では、EVの走行距離に応じた課税や、充電時の利用料金への上乗せなどが考えられている。これにより、EVのランニングコストが従来車並みに上昇する可能性がある。
自動車業界の反応
自動車メーカー各社はこの動きに強い懸念を示している。EV普及に向けた投資を進めてきたメーカーにとって、政府の方針転換は大きな打撃となる。特に英国では2030年までにガソリン車・ディーゼル車の新規販売を禁止する方針を掲げており、今回の税制見直しがこの目標達成に影響を与える可能性がある。
消費者団体からも、EV購入を検討していた人々の購買意欲が減退するのではないかとの指摘が上がっている。政府の環境政策と税制政策の整合性が問われる事態となっている。
今後の見通し
政府は税制改正の具体的な内容について、業界団体や専門家との協議を続けている。環境目標と財政需要のバランスをどう取るかが課題となっている。EV関連技術の開発を進める企業にとっては、政策の不透明性が投資判断を難しくしている。
英国の決定は欧州連合(EU)諸国にも影響を与える可能性があり、今後の動向が注目されている。各国が同様の税制導入を検討するかどうかによって、世界のEV市場の行方が左右されるかもしれない。