中国EV新勢力が直面する人材マネジメント課題
中国の家電メーカー・小米（Xiaomi）が自動車分野に本格参入し、テスラやBYDといった世界の電気自動車（EV）大手に対抗する姿勢を明確にしている。しかし、この急激な事業拡大に伴い、従業員への業務負荷や労働環境に関する懸念が浮上している。
野心的なEV事業参入の背景
小米は2024年に発売した初の量産EV「SU7」で市場に衝撃を与えた。同社はスマートフォンや家電で培った技術力を駆使し、先進のコネクテッド機能を搭載。価格競争力も武器に、中国EV市場で急成長を遂げている。しかし、この急ピッチな開発プロセスには、技術者を中心とした従業員への大きな負担が伴っているとの指摘もある。
労働環境を巡る現状と課題
中国のハイテク企業では、いわゆる「996」勤務体系（朝9時から夜9時まで、週6日勤務）が問題視されてきた。小米の自動車部門でも、競争激化に伴い同様の労働慣行が導入されている可能性が懸念材料となっている。特に新規事業立ち上げ期には、短期間での成果が求められるため、従業員へのプレッシャーが増大しがちだ。
持続可能な成長への道筋
長期的な企業価値向上を目指すなら、従業員のウェルビーイングと業務効率のバランスが不可欠である。小米は伝統的な自動車メーカーとは異なるアジャイルな開発手法を強みとしているが、過度な時間外労働やストレス管理の問題を適切にコントロールできるかが今後の課題となる。中国EV業界全体が、イノベーションと健全な労働環境の両立を模索している。