電気商用バンが直面する現実的な課題
欧米市場で電気商用バンの販売が伸び悩んでいる。環境対策としてのEV導入が叫ばれる中、実際の事業現場では冷静な判断が行われている。特に配送業や建設業など商用車を重要な経営資源とする事業者からは、電気バンへの移行に慎重な姿勢が見られる。
航続距離と充電インフラの不安
商用バンは一日に数百キロを走行するケースが多く、現在のEVの航続距離では業務に支障が出る可能性がある。また、充電ステーションの数不足や充電時間の長さも問題だ。緊急の配送業務では、長時間の充電待ちは許容できない。
コスト面での採算性疑問
電気バンは従来のディーゼル車に比べて購入価格が高い。維持費の安さを訴求するメーカー側の主張に対し、事業者からは「初期投資回収までの期間が長すぎる」との声が上がる。特に中小企業にとっては経営への影響が大きい。
積載量とパフォーマンスへの懸念
バッテリーの重量により積載量が減少する点や、重い荷物を積んだ際の登坂性能への不安も指摘されている。山間部や傾斜の多い地域での使用を想定すると、技術的な課題はまだ多い。
市場の成熟を待つ事業者たち
環境意識の高まりとは裏腹に、事業用車両のEV化は経済合理性と実用性のバランスが求められる。各メーカーはこれらの課題解決に取り組んでいるが、現時点では多くの事業者が移行時期を慎重に見極めている状況だ。