充電ケーブル窃盗が急増 フランスのEV普及に影を落とす新たな脅威

投稿者:

EV充電インフラを脅かす組織的窃盗

フランス国内で、電気自動車(EV)用急速充電ステーションからのケーブル窃盗が相次いでいます。この犯罪は単発的なものではなく、充電ネットワークの健全性を脅かす組織的な問題へと発展しており、関係者を悩ませています。窃盗の主な目的は、ケーブル内部に使用されている高価な銅です。金属価格の高騰を背景に、充電ケーブルが格好の標的となっている現状があります。

運営コストの増大とユーザーへの影響

充電ケーブルの盗難は、充電ステーションの運営者に多大な経済的負担を強います。盗難に遭ったケーブルの交換費用は1本あたり数千ユーロに上り、さらに修理期間中の収入機会損失も無視できません。利用者にとっては、いざ充電が必要な時に設備が使用不能となっている事態が発生し、移動計画に支障をきたすケースが報告されています。特に高速道路沿いや郊外の充電スポットが狙われやすく、長距離移動中のドライバーが影響を受けるリスクが高まっています。

エネルギー転換への逆風と対策の模索

この窃盗の蔓延は、フランスが推進する脱炭素社会への移行、具体的にはガソリン車から電気自動車への転換政策に冷水を浴びせる可能性があります。充電インフラへの信頼が損なわれることで、EV購入を躊躇する消費者が増える懸念があります。対策として、一部のオペレーターは監視カメラの増設や警備の強化、ケーブルに追跡装置を内蔵する試みを始めています。また、回収業者に対する規制強化など、盗品の流通経路を断つための法的な枠組みづくりも議論されています。

持続可能なモビリティ社会を実現するためには、インフラそのものを保護する社会的な対策が不可欠です。充電ケーブル窃盗は、技術的な普及だけでなく、社会全体で新たなインフラをどう守っていくかという課題を浮き彫りにしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です