ラム・ダコタ、2027年に市場復帰を正式発表
ステランティスグループのトラックブランド「ラム」は、かつて人気を博した中型ピックアップトラック「ダコタ」の復活を正式に決定しました。同社CEOのティム・クニスキス氏により確認されたこの計画は、2027年の市場投入を目指しています。予想される基本価格は約4万ドル(日本円で約600万円前後)からとなり、激戦区である中型ピックアップ市場への本格的な再参入を意味します。
戦略的な市場ポジションと期待される役割
新型ダコタは、フルサイズのラム1500とコンパクトピックアップの中間に位置する「ミッドサイズ」カテゴリーを狙います。このセグメントでは、フォード・レンジャーやトヨタ・タコマなどの強力な競合がひしめく一方、ラムブランドにはこれまで該当する車種が存在しませんでした。約4万ドルという価格設定は、高級装備を施したフルサイズピックアップに手が届かない買い手や、より扱いやすいサイズを求めるユーザーを取り込むことを可能にします。
進化する市場環境とダコタに課せられた使命
2027年の発売時には、電動化の流れがさらに加速していることが予想されます。このため、新型ダコタには従来のガソリンエンジンに加え、ハイブリッドやプラグインハイブリッド(PHEV)といった電動化パワートレインのラインナップが用意される可能性が高いと業界関係者は分析しています。ラムは既に電動ピックアップ「ラム・リボルト」の開発を進めており、そこで得られた技術の応用も期待されます。ダコタの復活は、単なる過去の名車の蘇りではなく、変化する市場環境におけるラムの製品ポートフォリオ強化と、幅広い顧客層獲得という明確な戦略に基づいています。
デザインと性能への期待
詳細な仕様はまだ明らかになっていませんが、現代的なラムのデザイン言語を継承しつつ、より機動性と都市部での使い勝手を重視したスタイルになると見られています。積載能力と牽引能力は、競合他社の中型ピックアップに対抗できる水準が与えられるでしょう。また、ラムが近年の車種で注力している高級感あふれるインテリアと先進的なインフォテインメントシステムも搭載され、作業車としてだけでなく、日常使いにも適した快適性を提供することが予想されます。
全体として、ラム・ダコタの2027年復活は、同社が中型ピックアップ市場という重要な戦域を埋めるための重要な一手です。成功すれば、ラムブランドの販売台数拡大と、より多様な顧客へのアプローチを実現する起爆剤となるでしょう。