マレーシア初の国産EV「ペロドゥアQV-E」が中国メーカーに対抗する切り札に

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マレーシア自動車産業の命運をかけた電気自動車

マレーシアの国民的自動車メーカー、ペロドゥアが初の電気自動車(EV)「QV-E」を発表しました。これは単なる新モデルの登場ではなく、国内市場で急成長を遂げる中国メーカーに対抗する、国家を挙げた戦略的な一手です。マレーシアは長年、プロトンとペロドゥアという二大国産メーカーにより市場を守ってきましたが、価格競争力と先進技術を武器とする中国車の台頭により、その牙城が揺らぎ始めています。

中国メーカーシェア拡大への危機感

マレーシア市場では、BYDやグレートウォール・モーターズなどの中国ブランドが、手頃な価格帯のEVやSUVを投入し、着実にシェアを拡大しています。政府はEV普及を推進する一方で、自国の自動車産業の保護にも力を入れており、このQV-Eの開発はその象徴的なプロジェクトと言えます。国産初のEVを市場に送り出すことで、国内の雇用と技術基盤を維持し、輸入車への依存度を下げる意図があります。

QV-Eが担う「技術主権」の確保

ペロドゥアQV-Eの詳細な仕様はまだ明らかになっていませんが、同社が長年培ってきた小型車製造のノウハウと、新たに導入するEV技術の融合が期待されます。重要なのは、バッテリーや電動パワートレインといったコア技術のサプライチェーンをどこまで国内で構築できるかです。完全な国産化は難しくとも、主要部品の調達や生産において自国での主導権を確保することが、長期的な産業競争力のカギとなります。

この動きは、東南アジアの自動車市場が大きな転換期を迎えていることを示しています。各国がこぞってEV化を推進する中、マレーシアのように自国産業を守りながら移行を図る国もあれば、外国メーカーの投資を積極的に誘致する国もあり、地域の勢力図は流動的です。ペロドゥアQV-Eの市場での受け入れられ方は、今後のマレーシア自動車産業の方向性だけでなく、東南アジアにおける中国メーカーの進出パターンにも影響を与える可能性があります。

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