フォード・ブロンコ：世界最強のカーオーディオシステム記録を持つこの伝説的な車両が、第二の人生を歩んでいる。1990年代から2000年代初頭は、カーオーディオ競技の黄金時代だった。2025年現在もより強力なシステムで競技は続いているが、この時代はカーオーディオ愛好家にとって懐かしい思い出の時期となっている。
ここで紹介する1988年式フォード・ブロンコは、当時のヒーローの一台だった。アルマ・ゲイツ氏によって製作されたこの車両は、170デシベルを超える音圧を記録。長年活動を休止し、世界記録をもたらしたキッカー製システムも外されていたが、現在は高性能デモンストレーション車として復活を遂げつつある。
情熱的な新オーナー
サルバドール・ベネリオ氏が、この歴史的なブロンコの新たな守り手となった。アルバカーキで「ザ・パーフェクト・ビート505」を経営する彼は、この車両を特別な存在に戻すための専門知識を持っている。
ベネリオ氏は、SPL競技の第一人者であるオーディオ・アペックスのネイサン・マンソン氏から車両を購入。マンソン氏は2013年に他界したアルマ・ゲイツ氏と長年の親交があり、ゲイツ氏は当時のカーオーディオ界で最も象徴的な人物として、その特異な趣味でメディアに頻繁に取り上げられていた。
条件付きの再建
ベネリオ氏は長年交渉を重ね、ついにマンソン氏から車両を譲り受けることに成功したが、一つ条件があった――キッカー製の機材で再構築すること。ベネリオ氏はスポンサーシップの可能性を探るため同社に連絡し、現在キッカー社が提案を検討中だ。
「この車両には元々10インチスピーカーが48台搭載されていました」とベネリオ氏は説明する。「38台の搭載を考えていましたが、スポンサーなしではコストが膨大になります。キッカー社が参加しない場合は、代わりに新型のSoloX 18インチを4台とアクリル加工を施したインテリアで壮観な仕上がりを目指すつもりです」
プロジェクトには既にXSパワー社の支援が決定しており、同社がリチウムバッテリー一式を提供する。
圧倒的な遺産
写真資料には、V8エンジンに搭載された印象的なオルタネーター群が写っている。2001年発行の雑誌『Auto Sound and Security』によれば、車両総重量は17,000ポンド（約7,700kg）に達した。アルマ・ゲイツ氏は、低音によって生じる内部の圧力が非常に強力で、ボディパネルを引き裂き、リアウィンドウを破壊したと語っている。
象徴的な復活
重要なのは元の音圧レベルを再現することではなく、この象徴的な車両がふさわしい注目を集めることだ。再構築には時間がかかるが、ベネリオ氏はチーム・ゲイツ・キッカー・ブロンコを現代化することを真摯に約束している。確かなのは、その音響性能が並外れたものになるということだ。