次世代モビリティへ向けた多角化戦略
中国のテクノロジー企業、シャオミは、その自動車事業において重要な転換点を迎えようとしています。2024年に100%電気自動車であるSU7で華々しく市場に参入した同社は、今後より多様な製品ラインナップを展開する方針を明らかにしました。これは、単一の動力源に依存しない、より幅広い市場への対応を意味します。
パワートレインの選択肢を拡大
これまで純電気自動車(BEV)に注力してきたシャオミですが、市場の多様なニーズに応えるため、新たな技術開発に着手しています。具体的には、拡張可能な電気自動車(EREV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)といった、電気駆動を基盤としつつも航続距離の不安を軽減するパワートレインの導入が検討されています。これにより、充電インフラが未整備な地域や、長距離移動を頻繁に行うユーザー層へのアプローチが可能になると見られています。
スマートフォン連携を核とした統合体験
シャオミの強みは、自動車単体ではなく、スマートフォンやスマートホームデバイスを含む「人×車×家」のエコシステムを構築できる点にあります。次世代モデルでは、このエコシステムの連携をさらに深化させ、車内から自宅の家電を制御したり、スマートフォンのアプリケーションやデータをシームレスに車載ディスプレイで活用したりする体験の高度化が図られるでしょう。自動車を、単なる移動手段から、生活のあらゆるシーンを結ぶスマートデバイスとして位置づける戦略です。
競争激化する市場での生き残り策
中国の自動車市場、特に電気自動車分野は激烈な価格競争と技術革新が続いています。このような環境下で、シャオミが純粋なEVのみにリソースを集中させることはリスクが伴います。パワートレインの選択肢を広げることで、より幅広い価格帯と顧客層をカバーし、市場変動に対する耐性を高めることが期待されます。同社の自動車事業は、収益性を確保しながら持続的に成長するための次のフェーズに入ったと言えるでしょう。