B0001 – ドライバー段階1のフロント展開制御

投稿者:

技術的意味

コードB0001は、運転席フロントエアバッグの第1段階展開回路の異常を示しています。RCM(拘束制御モジュール)は以下を検出します:

サブコード 故障内容 説明
B0001:11 アース短絡 回路と車体/シャーシ間の接触
B0001:12 電源短絡 +12V回路との接触
B0001:13 回路開放 断線、コネクタ未接続、無限抵抗
B0001:1A 抵抗値低すぎ 最小閾値未満(例:< 1.5 Ω)

検出メカニズム
RCMはエアバッグループの抵抗を常時監視(正常値:1.8〜3.5 Ω)。逸脱によりコード作動。クロストーク(エアバッグ回路間の短絡)でも本コード+関連DTCが発生。


症状

  • 🔴 エアバッグ警告灯点灯(必須)

  • ⚠️「エアバッグサービス必要」または「拘束システム故障」メッセージ

  • 🛑 運転席エアバッグ作動不能(SRS診断ツールで確認)


考えられる原因(頻度順)

  1. クロックスプリング故障(全症例の60-70%):

    • ステアリングコラム内接続スパイラルの損傷(摩耗、ハンドル不適切操作)

  2. 接続不良

    • 運転席下コネクタ:酸化、ピン曲がり、ロック破損

    • RCMコネクタ:腐食または湿気(モジュールは通常フロアマット下)

  3. 配線損傷

    • シート下またはステアリングコラムでの線束擦れ/挟み

    • 齧歯類、水害、電気改造による短絡

  4. 運転席エアバッグ故障(衝突/水没後以外では稀)

  5. RCM故障(極めて稀:最終確認)


診断手順(⚠️ 絶対安全確保

前提条件:

  1. バッテリー外し(-端子、次に+端子)

  2. 15分待機(コンデンサ残留エネルギー放電)

  3. 装備:絶縁手袋、保護眼鏡、マルチメーター、SRS診断ツール


ステップ1:目視検査(重点箇所)

位置 確認点
運転席下 黄色エアバッグコネクタ:腐食、ピン変形、クリップ破損
ステアリングコラム クロックスプリング:露出配線、ハンドル操作時異音、ハンドル位置ずれ
配線経路 シート~RCM間の線束潰れ/擦れ(ドア開口部/床下経路)
RCMコネクタ 湿気/腐食(必要に応じマット取り外し)

問題発見時:電気接点スプレーでコネクタ清掃(SRS部品分解禁止


ステップ2:電気的テスト(マルチメーター)

  1. エアバッグ切断(運転席下黄色コネクタ)

  2. エアバッグ抵抗測定

    • 正常範囲:1.8〜3.5 Ω(範囲外=エアバッグ故障)

  3. クロックスプリングテスト

    • 両端(ハンドル側とコラム基部)で切断

    • 確認:

      • 対応ピン間導通(< 1 Ω)

      • 回路間またはアース間の短絡なし

  4. RCM~エアバッグ間配線確認

    • RCMピン~エアバッグコネクタ間導通(< 1 Ω)

    • 絶縁:回路間またはアース/電源間で導通なし


ステップ3:高度診断(SRSツール)

  1. 詳細サブコード読取り(例:B0001:13 = 回路開放)

  2. ツールによるループ抵抗測定

    • 期待値:2.0〜3.0 Ω(メーカーにより異なる)

  3. ループテスト強制実行(機能利用可能時)


修理

故障 解決策 注意事項
クロックスプリング故障 交換+ハンドル位置中央合わせ(分解前) クロックスプリング外した後はハンドル回転禁止
コネクタ腐食 清掃またはハウジング交換 SRS認定コネクタ(黄色)使用
配線損傷 0.35〜0.5 mm²線、熱収縮チューブで修理 急角度避け、摩擦防止保護追加
エアバッグ故障 ユニット交換 ⚠️ 展開/故障エアバッグ絶対再利用禁止
RCM故障 交換+再プログラミング 取付前の短絡確認必須

修理後作業

  1. バッテリー再接続(+端子、次に-端子

  2. SRSツールでコード消去(標準OBD2では不十分)

  3. 始動時のエアバッグ警告灯消灯確認

  4. ツールによるシステム全テスト実施

🔴 重大警告

  • 電源でのエアバッグテスト絶対禁止(展開危険)

  • 装備/知識不足の場合は認定工場へ依頼。誤りは致命的故障や誤作動を引き起こす可能性あり

参考資料:常に車両整備マニュアル参照(手順及び値はメーカーにより異なります)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です